かなでと申します。松山ケンイチとオリジナル小説のブログです。要するに日々の萌えについて綴ってます。メールはkenkenken10305あっとまーくyahoo.co.jpまでお気軽にどーぞ☆


by sora10305
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妄想小説『ザムザ 言葉の王国』第10話

どうも、お久しぶりですm(..)m
呪術とか、人間に化ける霊獣とかが出てくるオリジナル小説です。
ザムザ=松山ケンイチで妄想しつつ読んで下さると嬉しい感じです(^^)

いやもう、シルバーウィークはカムイの舞台挨拶からスタートしちゃって、いきなり萌え死にました(爆)

現実に戻ってくるまで大変でしたよーーー(笑)

でもって、ザムザもやっとこさ10話になりました。
あしたからイギリスに行ってきまっくす☆

感想&ご意見随時受付中です。よろしくお願いします。m(..)m
前の話はここから↓
ザムザ 言葉の王国 第1話
ザムザ 言葉の王国 第2話
ザムザ 言葉の王国 第3話
ザムザ 言葉の王国 第4話
ザムザ 言葉の王国 第5話
ザムザ 言葉の王国 第6話
ザムザ 言葉の王国 第7話
ザムザ 言葉の王国 第8話
ザムザ 言葉の王国 第9話




ザムザ 言葉の王国

第10話

結局、面倒事に巻き込まれるのはいやだったので、カラスの少年からも、呪術師協会とやらの男からも、逃げ出して家に帰った。

それにしてもなんでこう、わけのわからないことが身の回りで起こるんだろう?

会社で、エクセル表に数字や文字を打ち込みながら、私はぼんやりと考えた。
そしてありきたりな日常の尊さを噛みしめた。

「ゆめどの」と「ぬりごめ」
ふと、ふたつの言葉が頭の中に浮かんだ。
文枝は、ザムザのところに行ったんだろうか?

気になってしかたないので、昼休みに文枝に電話してみた。
彼女はメーカーの本社部門勤務なので、金融の本社部門勤務の私とは、昼休みの時間がかぶっている。

だが…
「こちらは、ABCテレフォンです。おかけになった電話番号は現在使われておりません。もう一度、番号を…」
と、機械音声が応答するだけで、繋がらなかった。

ザムザに会った日から、一周間くらいしかたってなくて、しかもつい何日か前に彼女にメールした時は、すぐに返事が…

と思って、メールも送ってみたが、あっけなく、宛先不明で返ってきてしまった。
あの真面目なフミちゃんが、突然音信不通になるなんて、あんまり考えられない。

もし、電話番号やメールアドレスを変えたなら、連絡が来るはずだ。
就職試験でたまたま隣になって連絡先を教えあって、それっきり会ってないし2度と会うこともないであろう人にすら、電話番号とアドレスの変更のお知らせをするような子、のはずだ。私の知る彼女は。

いつもお昼ごはんを一緒に食べている会社の同僚たちに「どうしたの?」と心配されるくらい、私は目に見えて動揺していた。

その日の午後はずっとぼんやりしていて、ぬりごめや、ゆめどのってなんなんだろうと考えていた。
事務職の私のパソコンは、ネットにつながらないのでこっそり調べることもできない。

ザムザは、文枝に「ぬりごめ」の鍵がどうとか、言っていた。
そのぬりごめだか、ゆめどのだかを調べたくってしょうがない。

帰りの電車の中で、やっと調べられると思って携帯電話を取出してみると、電池が切れて液晶画面が真っ黒になっていた。

私はふらりと途中下車した。
会社とうちのちょうど間くらいに母校の大学がある。

家に帰ってパソコンから検索すればいいのだが、私は思い立ったらすぐ行動しないと気が済まない質なので、会社帰りに何かを思い立ったときには、ときどき大学のパソコンを使わせてもらっている。

卒業後もIDは有効なので、大学のシステムにログオンできる。それに、いまのところまだ、学生たちの間に紛れていても、それほど違和感はない年齢のはずだ。

…とか思いながら、大学に紛れこんだ。キャンパス内の、売店で買ってきたものを飲食したり、しゃべったりできるスペースにあるパソコンの電源を入れた。時刻は午後7時を過ぎていたが、まだまだ学生がたくさんいて賑わっている。ここなら誰にも怪しまれることもなくタダでネットなどを利用できる。唯一の問題点と言えば、立ち見用なので、長く利用していると疲れるということだ。

さっそく、「ぬりごめ」を検索してみた。

特に考えもせず一番上に出てきたサイトに飛んでみる。
平安時代の風俗について説明してあるサイトのようだった。

平安時代の貴族の居住空間である、『寝殿造』の内部には壁などで区切られた部屋がなく、一続きの広い空間になっている。そこに適宜、御簾(みす)を垂らしたり、屏風(びょうぶ)や几帳(きちょう)などを立てて、仕切って使われていた。だが母屋の一角にある塗籠(ぬりごめ)だけは特別だ。塗籠は土や板で出来た厚い壁で囲まれている。塗籠は神聖な場所として扱われ、先祖代々の宝物を収納する場などに利用されていたが、平安後期には神聖視も薄れ、寝室、納屋として使用されていた。


ふーん、そうなのか、と思いながら、次に、「ゆめどの」を調べてみることにした。

「夢殿」
これでいいんだろうか?

検索してみると、法隆寺のホームページが一番上にでてきた。

そういえば、中学のときに修学旅行で法隆寺に行った気がする。あまり記憶にないんだけど、この夢殿を私は見ているはずだ。

ホームページの説明によると、この夢殿は聖徳太子を供養するための建物らしい。中には秘仏、救世観音像が安置されているそうで、聖徳太子はその観音様の化身と伝えられているらしい。

平安時代の貴族の住居といったいどう関わっているというんだろう?
検索ページに戻って、別の意味がないかどうか確認してみる。

すると、こんなサイトを見つけた。
夢殿~夢うつつの姫君たちへ~
めくるめく美と光の饗宴@武道館 参加レポート!!!!

気になったので、クリックしてみた。

姫君たち、こんばんは(*^o^*)
『めくるめく美と光の饗宴』
僭越ながら、わたくしも、参加してまいりましたーーーー!!!

可憐な姫君たちのレポ、お待ちしております★☆★
どしどし送ってくださいましーーーー!!!!

いやもう、わたくし、途中で何度、心肺機能が停止するんじゃなかろうかと心配したことか!!
テンションと萌え指数が上がりすぎると、心臓が激しく脈打って、破れそうになってしまうのですよ(><)

彼の周りだけ、淡い玻璃色の光で包まれているかのようでした。
生身の彼は、細くてしかも逞しく、芸術的と言えるほど均整の取れた体つきをなさっています。
とても、私などと同じ人間の体とは思えません。
これほどまでの美を見せつけられると、「悪魔に魂を売り渡した」との名言も、なんだか真実味を帯びて聞こえてきてしまいます。
それくらい彼の美しさはファンタジックでフィクショナルなのです。
完璧な比率を持つ肉体からは、仄かな花の香を漂わせているようにすら見えました。

すみません、順序が逆転してしまいました。
1曲目のCold Blood は、幕が開いてから、しばらく彼だけお姿が見えなくて、どこ!?どこ!?って、子猫たちみんな、落ち着きなくきょろきょろしていたんですよ。

そしたら、なんと客席中央あたりの天井で白銀の翼を広げたあの方がぁぁぁぁぁ!!!!
なんということ!なんということ!


・・・まだまだ続く。
ファンの方の、ライブか何かの参加レポートだろうか?
私はページを送って、コメント欄を見てみた。


末摘花:六条さん、早速レポートを上げて下さってありがとうございます。
私は田舎者なので、東京でのライブとか、遠い遠い夢の出来事みたいなんですが、こうして六条さんが臨場感あふれるレポートを書いて下さるので、なんだかその場に私もいたかのような錯覚におちいってます。
六条さん、愛してますーーーー(^ε^)♪

けまり:きゃあ!!!もうUぷして下さったのですね!!!ありがとうございますm(..)mいつもながら、六条さんのレポは素敵すぎますーーー!!!!詩人ですよね!

>テンションと萌え指数が上がりすぎると、心臓が激しく脈打って、破れそうになってしまうのですよ(><)
その気持ち、すっごいわかりますよ、六条さん(^^;)私もライブ中に何度失神しそうになったことか!!!

夕顔:素晴らしいレポをありがとうございます。私はチケットを入手できなかったので、こんなに詳しく、臨場感ありありのレポートを書いて下さって、本当にうれしいです!!六条さんはいつも私たちに夢を下さいますね。それも、両手で抱えきれないほどの、大きな夢を。光る君が投げかけて下さる希望を、六条さんが夢のかたちにして私たちに見せて下さるんです。六条さんと出会えて、ほんとうによかった。
夢殿の皆様方、私のような者をまた受け入れて下さって、本当にありがとうございます。


というような書き込みの数々に、六条さんという管理人がひとりひとりお返事をしている。
ごく普通のファンサイトかな?
あれ?誰の?

サイトのトップの説明文をもう一度読んでみた。

光る君の魅力に釘付けになってしまった姫君たちへ。夢殿で、一緒に蕩けましょう★


光る君?

もういちど、さっきの記事に戻って、写真を見てみた。
たぶん何かの雑誌の写真を貼り付けているんだろう。
いかにも、「ビジュアル系バンド」です、といった、非人間的なほど奇麗な顔。
金髪のつんつんした髪型に、ガラスのような青い目。

あ!!!

日頃、あんまりテレビも見ないし、芸能ネタには相当疎い(友達には人間国宝級に疎いよね、とか言われるくらいだ)私でも、それが誰だかわかった。

TAITO!ビュジュアル系バンドの、ブラタンの!

同時にもう一つの記憶が蘇る。

そういえば、あの、ザムザに会った日、文枝は新宿のビルの巨大な広告パネルにはめられたビジュアル系バンド「BLACK TANGUES」のボーカル、TAITOの顔をじーっと見ていたのだ。私と話していながらも、その広告をずっと見上げっ放しだった。好きなの?って聞こうと思ったけど、なんとなく聞かなかったんだ。

TAITOは、1年前くらいに、「光る君」というタイトルの映画で主人公光源氏を演じていた。私はその映画を見ていないのだが。このファンサイトでは、映画のファンが多いのか、どうやらTAITOのことを「光る君」と役の名前で呼んでいるらしい。

何気なく画面をスクロールしていると、サイトの片隅で、こんなリンクを発見した。
★塗籠の入り口★


マウスを操る私の手の動きが止まる。
激しく、どきんとした。
クリックしてみると、警告マークのついたダイアログボックスが立ち上がってきた。

“鍵言葉”を入力してください(半角6文字以上15文字以内)


メッセージの下に、白い入力欄がある。

鍵言葉?
またしても、記憶が蘇ってきた。

「俺が知りてぇのは、塗籠の鍵言葉だ」

そうだ、ザムザはそう言っていた。あのとき、なに?鍵言葉って?と思っていたのに、鍵言葉という言葉自体を、すっかり忘れていた。

鍵言葉。なんだろう?わかるはずがない。
だいたい塗籠の入り口って何なんだろう?その中には何があるんだろう?さっきの説明にあったけれど、宝物の収蔵庫?誰かの寝室?それともただの物置?

でも文枝はそれを知ってる。鍵言葉を知っているらしいし、中に入ったと言っていた。それで、何かと引き換えに、鍵言葉を渡せと、ザムザに言われていた。確か…
そうだ、鍵言葉を教えたら、夕顔ってひとに会わせてくれるという話だった。いなくなった夕顔という人に…

…え?夕顔!??いなくなった夕顔!!!?

慌てて画面をスクロールし、さっき見ていたライブ参加レポートのコメント欄に戻った。
いた。夕顔というハンドルネームの人が書き込みをしている。

“夢殿の皆様方、私のような者をまた受け入れて下さって、本当にありがとうございます。”


また、受け入れて?
いなくなった夕顔。
戻ってきたらしい、夕顔。
連絡が取れなくなった文枝。

夕顔さんも、塗籠に入ったんだろうか?

ライブのレポートが最新の記事だったので、ひとつ前の記事も見てみた。
「光る君に寄せる恋文」という記事だ。

そこに、夕顔さんがいた。

夕顔:六条さん。心の籠ったメールをありがとうございました。例の件、お許し下さって本当にありがとうございます。皆様、またこの場に戻ってきてしまいましたが、私の様な者をもう受け入れては下さらないと思います。なので、せめて最後のごあいさつだけでも・・・


この書き込みのあとに、たくさん、彼女を引き留める内容の書き込みが書き連ねられ、六条さんも是非ここに残って!と書き込みをしていて、夕顔さんは残ることになったらしく、皆さんに「溢れるばかりの感謝を捧げます!」と書いていた。

例の件って…?

文枝もこのサイトのお客さんだったに違いない。サイト内のいさかいにでも巻き込まれたんだろうか?そういえば久しぶりに会って、なんだかすごく悩んでいる様子で、その悩みを話してもらおうとしたら、彼女はこう言った。
「セカイが、失われたの」
彼女にとっての世界ってなんなんだろう?

よくわからないし、このサイトが関係しているのかどうかもはっきりしないけれど、音信不通になるなんて、やっぱり只事ではない。

彼女のハンドルネームはわからないが、もっと書き込みをたどれば何かがつかめるかもしれない。

突然、マウスを操作していた右手の上に、冷たく湿った感触が覆いかぶさった。
心臓が体を突き破って出てくるんじゃないかというくらい、びっくりした。
手の甲の上に、誰かの手が乗っている。白くて、私よりは骨ばっていて、でも感触は滑らかで、私よりもほんのすこし、大きい手だ。

思わず、悲鳴を上げてしまいそうになったが、その口を人さし指一本で制された。悲鳴が、息と共に喉の奥へと逆流した。
耳元で声が囁く。

「人捜しか?」

その口調に、私は体を強張らせた。

「他人事に、何をそんなに必死になっているんだかねぇ」

手の甲に乗せられた手がマウスを操り、今表示していたサイトのウインドウを×ボタンで閉じた。

耳元で声が嘲笑う。

「知ってるか?幸せは、無知と鈍感の上に成り立つんだぜ」


私は背後の人物の手を勢いよくふりほどき、力いっぱい、その体を背後へと押しやった。

周りの学生がちらちらと私たちの方を見ている。
まずい、そもそも私は学生じゃないし、こんなところで目立つわけにはいかないのだが…

振り返ってみて大いに拍子抜けした。私が想像していた人物がそこにはいなかったからだ。
代わりに、私に突き飛ばされたらしい少年が、もんどりうって倒れそうになっていた。
反射的に手を掴んで引き寄せる。

そういわれてみれば、手の上に置かれた手は、あの人の手にしては若干小さかった。多分。私の記憶が正しければ。

優しげな面差しをした少年だった。年は14,15歳くらい、髪はカラスの濡れ羽のようにまっ黒で…
私はつい素っ頓狂な声を上げてしまった。

「カラス!?」

私の声を聞くと、少年は目をまんまるくして、そのまま3秒くらい固まり、その後、あ、とかえ、とかう、とか、言葉にならない声を発しながら、へなへなと、座りこんでしまった。
座りこんだというよりは、ひざをついてへたりこんだという感じだった。

ドラマのひとコマでも演じているかのような、珍妙な私たちの様子を、学生たちはちらちらと控えめな目線で伺っている。
ひそひそ話がうっかり耳に届いてしまった。

―何あれ?痴話喧嘩?
―でも相手の男の子、どう見ても学生じゃないよね?

そう、彼はどう見ても大学生には見えない。
私はとたんに恥ずかしくなった。とにかくこの場から消えたかった。

でも少年は周りの視線は特に気にならないようだった。へたりこんだまま、私を見上げて、しゃべりだした。

「ふ、文枝さんのこと…早くしないと、て、手おくれになっちゃうかもしれなくて…それを知らせたくって、あの、すみません僕…」

私は彼の方に身を乗り出した。手を差し出して、立ちあがらせる。

「…文枝のこと、知ってるの?」

少年は激しくうろたえている。

「え、あ、あの…、知っ、知ってるっているか…その…あの…」

私は半ば苛立って、がしっと少年の肩を掴んだ。
彼の身長は私と同じか、少し低いくらいだったので、手の位置はほぼ平行だ。

「知ってるの?知らないの?どっち?」

「え、あ、あの、知ってます。あ、いや、知りません…けど…」

これ以上少年を怯えさせてもいけないので、しばらく黙って答えを待つことにした。

じろじろ見ていた学生たちの視線も、気付けばもうなくなっていた。他人事って、そんなもんよね、となんとなく思った。噂にして、面白おかしく取り上げて、すぐに飽きて次の話題に移る。そんなもんよね。
少年の目がきょろきょろと忙しなく泳いでいる。

急に、目の動きが止まった。その子犬のような目が私にまっすぐ向けられる。

少年の顔が耳まで真っ赤になる。

「あの、い、今まで、つけ回してすみませんでした!!!あと、で、電話してください!!」

それだけ言って、精一杯、といった様子で、少年は私の手のひらに紙切れを押し付け、踵を返して、ものすごい速さで走り去っていった。

私は茫然と立ち尽くしていた。

手の中の紙を開くと、電話番号が書いてある。
今まで、つけ回してすみませんって。電話してくださいって。小学生の告白?

…でも、カラスに、電話なんて通じるんだろうか?
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by sora10305 | 2009-09-22 13:50 | 小説『ザムザ 言葉の王国』