かなでと申します。松山ケンイチとオリジナル小説のブログです。要するに日々の萌えについて綴ってます。メールはkenkenken10305あっとまーくyahoo.co.jpまでお気軽にどーぞ☆


by sora10305
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かなでの妄想小説『ザムザ 言葉の王国』第6話

ザムザ第6話でーーーす。
会社に遅刻するので、アップのみで失礼します☆

感想&ご意見&苦情などなど、随時受付中です!
あんまり関係ないおしゃべりだって大歓迎です!!!コメント待ってまーーーす(@∀@)/

気に入って下さったら、前の話も是非是非見てってください★
前の話はここから↓
ザムザ 言葉の王国 第1話
ザムザ 言葉の王国 第2話
ザムザ 言葉の王国 第3話
ザムザ 言葉の王国 第4話
ザムザ 言葉の王国 第5話




ザムザ 言葉の王国

第6話

「ほんとに、馬鹿みたいだって思うでしょうね。でも私にとっては、そこが全てだったんです。その小さな王国が」

文枝は搾り出すように言って、俯き、唇をきゅっ、と噛んだ。
私はそんな彼女の顔を見ることができなかった。視界のすみで、彼女のゆるくウェーブした栗色の髪が揺れていた。そういえば、髪の色、前より暗くなったかな?前はもうちょっと黄色に近かったような。今さら言えないけど。

ザムザは顎に手を当てていたが、時々、ちょっとだけ伸びた不精髭を気にしていじったり、引っ張ったりしていた。彼にとってはその髭の微妙な伸び具合の方が文枝の抱えている問題なんかより遥かに重要な懸案事項なんだろうな、ということが、見ていてわかった。

ま、そんなもんか。他人なんて。

きっと彼は正直なだけなのだ。
みんな、他人のことなんて、対して気にしてなんかいない。

「そうなんだ・・・」「大変だね!」と、眉根を寄せて、心配顔で覗き込んでくれるひとたちだって、本当は、自分の睫毛の上がり具合だとか、お財布の中身だとか、ブランドのコスメのノベルティだとか、彼氏の居場所だとか、そういう、自分にとっての「関心事」と同じくらいの重さで、ひとを思いやったりなんかしてはいない。たぶんそんなことはできない。

みんな「他人」なんだ、と、どこかでわりきらないと、生きていけない。

だって、他人のことまで、自分のことのように、いちいち抱え込んでしまったら、きっと重たすぎて、病んでしまうだろうから。

・・・なんて考えていて、ふと気付いたら、ザムザの漆黒の瞳が私を見据えていた。
吸い込まれてしまいそうに深い瞳だ。でもなぜ、私を見ているのだろう?
文枝ではなく?
ザムザは目を眇めた。少し嗤っているようにも見えた。
まるで私の戸惑いを見透すかのように。

「・・・その、ぬりごめってやつに入ったんだろ?」
次の瞬間には、もう彼の目線の先に私はいなかった。彼は文枝の方を向いていた。
「はい。それが間違いだったんです。きっと。」
ザムザは目もとを掻いて、足を組みなおす。
「なぜ、間違いだと思った?」

その前に、ぬりごめって何?
そもそも、何の話をしてるんだろう?

「それは・・・わからないんですが。間違いっていうか・・・。場違いだったというか・・・。単純に、資質が足りなかっただけかもしれません。」

この男は文枝と初対面のはずなのに、どうして、私よりも話が通じているの?
それともこのひとはわかってるふりをしているだけなの?

・・・普段は、わからないことがあっても、日常生活や仕事に支障をきたさない程度に知ったかぶりをして、なんとなくその場をやりすごしている私だが、そろそろ限界だった。
興味がないことに対しては、知ったかぶりでもなんでもできる。でも興味があることでわからないことは放っておけない。興味があることに対してくらいは、誠実でありたいのだ。

文枝はそんな私の思いにはちっとも気付かず、ひたすら自分の中から、言葉を探し、語っていた。

「でも・・・すごく悲しいことがあって。だから間違いだったのかなって。いなくなってしまったんです。とっても親しかった方が。それは、私のせいかもしれないんです。」

そのとき思った。
これってもしかして、他人であることの境界線を、破りたいと思っているのかな。
私は他人の、フミちゃんの領域に、入り込みたいと思ってるのかな?

(そう、単なる、好奇心によってな)

え?
今のは?

ザムザは・・・文枝の方を見ていた。私は視界の片隅にも入ってなさそうだ。それなのに、あの恐ろしいほどの引力を持った瞳が、こちらに向けられているのが、はっきりと見えた。
まるでその瞳が私の網膜に焼き付けられたみたいだった。

何・・・何なの?これ?

でも彼は文枝と話している。「それ・・・夕顔ってやつ?」
文枝は目を見開いた。「そ、そうです!どうして、わかったんですか?」
ザムザは答えるかわりに、首の後ろのあたりをぼりぼりとかいた。
文枝は小さくつぶやく。「・・・でも、誰でも見れますものね。夢殿のこと」

「なぁ、ねえちゃん、そいつがいなくなったこと、気にしてんだろ?」
「そうです。だってきっと、私のせいだと思うし・・・」
「連絡つかねーのか?」
「はい。・・・ぱったりと、いなくなってしまったし、メールも、返ってこないし・・・やっぱり私、彼女を傷つけてしまったんだ、って。まず謝りたい。そして彼女本人から、実際何があったのかを聞きたい。そうしないと私、不安でどうしようもなくって、バラバラになってしまいそうなんです」

「んだびょん」
ザムザは小さく、にやり、とした。邪悪な笑みだ。

文枝はなにか、誘導尋問にでも乗せられているんじゃないか、という気がしてきた。今の「にやり」、見た?と、文枝の方を向いたが、彼女は俯いたままだった。

あの笑みは、無意識のうちに出たものなんだろうか。でもどうして、あんな、自分が不利になるようなものを見せてしまうのだろう?
文枝は見ていないにしろ、私の警戒心を煽ってどうする?

「夕顔さんと、話せばいい」
「え?」
文枝が顔をあげた。ザムザはあの深い、底知れない瞳で文枝を見据えた。
「あんたが望むのなら、そいつと、しゃべらせてやろう。」
「ほ、ほんとに?」
「ああ。」

そして彼は、さっきの「にやり」とは程遠く、優しく、淡く笑んだ。
「そのかわり、と言っては何だが、ちっとばかし、聞きたいことがある。それ、しゃべってくれんなら、金はいらねえから。金じゃなくて、情報をくれってわけだ。悪い条件じゃないと思うぜ」

「な、何を聞きたいんですか?」

文枝は完全にこの男のペースにのせられている。判断能力も、たぶん失われている。
何をしゃべらされるんだか、彼女がどんな秘密を抱えているんだかもわからないけど、ここは友達として何か
言ってあげなきゃ。

よく、考えた方がいいよ。
私には、何のことだかよくわからないけど、
しゃべってしまってから、後悔したって遅いんだよ。

・・・でも、ちっとも声がでなかった。
一生懸命水の中でバタ足しているのに、ちっとも進まないみたいな感覚だった。

私はわけもわからず、腹立たしい気持ちになった。
そして、何でそんなことをしたのか、あとになって考えてもよくわからないのだが、ザムザをぎっと睨みつけた。

ザムザは文枝から視線を外していない。なのに。
(・・・負けん気、強いんだな)

はっきり聞こえた。その口元はまったく動いていないのに、彼の声が聞こえた。
そう。さっきも。私は混乱した。いったい、どうなってるの?
だがこんなことで混乱している場合ではなかったのだ。
あとで振り返ってみれば、こんな些細なことでいちいち混乱していられたなんて、ある意味幸せなことだった。
「俺が知りたいのはな・・・その・・・」

ザムザは突然、何の脈絡もなしに、険しい表情で宙を睨んだ。
文枝は急に会話を投げ出されたみたいになって、「ど、どうしたんですか?」と問いかけるが、もちろん答えはない。彼は何か別のことに意識を集中させているようだ。私たちのことは意識の外に追いやられたみたいだった。ここには私たちなど。もともといないかのようだった。

がたん、と、彼は立ちあがった、
頭をぐしゃぐしゃ、と掻き回して。
「悪ぃ。ちょっと、休憩。」
唐突に、ウインクした。
そして、私たちに何かを言わせる間を与えず、彼はひらりと身を翻して窓際へ寄り、窓を開け放ち、
「じゃあな」
と片手を軽く挙げて、そのまま窓の外に身を躍らせた。
黒いコートがマントのように風を孕んで広がった。
鮮やかな身のこなしだった。

文枝と私は、顔を見合わせた。
私は言った「ここ、三階だよね?」
文枝は小さく頷いた。

でも、私たちに思考する暇などなかった。
ばたばたと、慌ただしく階段を上ってくる何人分かの足音が聞こえてきたから。
まさか?こんな廃墟みたいなところに、誰かがやってくるなんて?
ここに、用があるわけではないよね?

だが、期待は裏切られた。
人の気配がどんどん近付いていく。
重い扉が開け放たれた。

先頭に立っているのは、額の広い中年の小男だった。黒ぶちの眼鏡をかけている。
彼は私たちがここにいることを予想していなかったらしく、驚きの表情を見せた。

その後ろには、眼鏡をかけた、異様に細くて神経質そうな若い男と、もう少し年長らしい、はっきりとした顔立ちの男がいた。

3人はみなスーツを着ていた。ふつうのサラリーマンの服装だったが、彼らの醸し出す雰囲気は決して普通とはいえなかった。

「日本術師協会監察執行部 特別対策室の滝と申しますが」
額の広い・・・というかはっきり言わせていただくと、かなり後退している、眼鏡の小男が私たちに名刺を差し出してきた。

第7話はここから★
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by sora10305 | 2009-08-04 07:37 | 小説『ザムザ 言葉の王国』