かなでと申します。松山ケンイチとオリジナル小説のブログです。要するに日々の萌えについて綴ってます。メールはkenkenken10305あっとまーくyahoo.co.jpまでお気軽にどーぞ☆


by sora10305
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かなでの妄想小説『ザムザ 言葉の王国』第2話

a0131401_21572951.jpg←このひと、
・・・そう、角川文庫さんの今期の限定ブックカバーです。鬼才カフカの名作、『変身』の表紙のひとです。
このひとが、私の頭の中で勝手に動き出しました。
名はザムザ。職業は「くぐつ師」。口癖は「んだびょん」(そうだろうよ)と「わいは!」(え!?)と「だけんど」。
方言混ざってるよ笑
そんなザムザさんが主人公・・・なのかよくわからない、
小説『ザムザ 言葉の王国』、第2話です。
(1話を書いたときには、続きは数日後にアップって言ってたのに、大分後になってしまいました。すみませんです。)
もし興味があれば読んでやってください。
感想&批判は随時受付中です♪
ザムザさんを松山さんが演じたら・・・と、妄想しながら読んでいただければと。
こういう役はまだやってないと思うんで、是非やって欲しいな・・・。と願っております。
素の「松山ケンイチ」とは程遠そうなガラの悪さ(笑)がたまらんのです。
(私的に、ど真ん中なキャラなんですけどねーーーー)
気に入っていただけたら、右端のカテゴリの”小説『ザムザ 言葉の王国』”から第1話も読んでくださいね(^。^)




ザムザ 言葉の王国
第2話

薄暗い部屋の中で、うごめく影があり、衣擦れの音がした。
長身の男の影だ。窓を背に、もたれ掛かるように立っている。
その手足は持て余すほどに長い。

革のような光沢のある素材の黒いコートを着ている。そのコートが闇の中で緑色の光を跳ね返している。部屋に明かりはないが、窓から得体の知れない緑色の光が入ってきて、部屋全体が淡くまだらな緑に染まっていた。

そこは8畳ほどの、さほど広くない部屋だったが、まるでがらんどうだった。
見える範囲には家具もない。壁はコンクリートで打ちっぱなし、床にも何も敷かれていない。

だが全ては薄闇に包まれていて判然としない。

「なあ、おい」
男の、太いが、押し殺したように低い声が薄闇を震わせた。
重く湿った空気が揺れ、男以外の誰かが身じろきし、頷く気配がする。
「人間が人間であることを証明できるか?」

それに応えて、木の実が転がるような、乾いた笑い声が起きた。
窓際にもたれ掛かっている男よりも、ふたまわりくらい小さい影が、ひょこひょこっと動いた。身につけているアクセサリーの鎖、と思われるものががしゃらしゃらと秘めやかに鳴った。

「あのぅ、お言葉を返すようですが、それって、証明する必要、あるんですか?」
柔らかく闇に解けるような少女の声。

「必要は、ねぇ。つーか、世の中で、必要なことなんて殆どありゃしねぇ」

少女の影が男のいる窓際へ寄っていく。
「必要だと、思い込んでるだけでな」

少女はまた頷いた。
「いつもの、お遊びですね?」

男は、ああ、とめんどくさそうに応えて、腕組みをした。

少女はおずおずと声を発する。「ニンゲンが、ニンゲンであること……。ドウブツでは、ないってことですか?」
男は間髪を入れず答える。「人間は、動物だ。だけんど、動物は、人間じゃねぇ」

少女の影が、うーん、と言って、首を傾げた。
「人間は動物に含まれるけど、人間には動物にはない要素があるってことですか?」
男はふん、と鼻を鳴らした。
「…質問ばっかしてくんじゃねえ。聞いてんのは、俺の方だ」
消え入るような声で、「だって、師匠がむちゃぶりするから…」
男は声を荒らげる、「てめぇ、口答えする気か?いっちょまえに?」
「あっ、えっと、すみませーん、なんでもありませんよぅ。…で、動物にはできないけど人間にはできることって…たとえば、笑うこととか、泣くこととか、ですか?」

男は落ち着きなく、微妙に体勢を変え続けている。時々、爪の先で壁をたたいてコツコツという音を立てた。
「…そいつはなぁ、『生きる』ことだよ」
少女の問い掛けに対する応えは常に速く、淀みがない。まるで最初から何を聞かれるか解っていたかのように。

「え!!?『生きる』って、それは動物だってして…痛っ!!」
男の指が放った何物かが闇を裂くように勢いよく飛び、少女の頭部を直撃した。
「いったぁ!何ですかこれ」
少女は屈み込んでその何かを拾う。
「って…ソラマメ?なんで?」
「馬鹿めが。ちったぁ、頭を使え。」
男は自らのこめかみの辺りを指して、呆れたように言い放つ。
「『生きる』ってのがフツウの意味じゃねぇことくらいわかるだろう?間抜けが。…生命維持の為だけに行動するのが動物だ。だが人間の行動は必ずしも生命維持を基準に決められるわけじゃねぇ。」
「そういう意味では、生き物としては変、っていうか、駄目なんですかねー、我々人間は。」
男は頷く。
「んだびょん」

しばしの沈黙。少女は首を傾げて少し考えてから、言った。
「『生きる』って……?それがわかれば、証明できるんでしょーか?あ、また質問になってしまってゴメンナサイ」
「だけんど、」と、男は少女の問い掛けには答える気がない、というように、独りごちるように言う。
「俺には、人間が人間であることも、俺が俺であることも証明できやしねぇ」
言いながら、何かを放り投げた。
ひらひらと、空気の抵抗を受けながら、1枚のハガキが床に落ちた。

「保険証にゃ写真がないからダメ、パスポートは住所が手書きだから補足資料が必要、免許証なら一発でOKだが、今免停中だろ俺。公的機関からの郵便物って、最近選挙もねぇし、電気代やガス代は口座引き落としだから払込票なんてもんはねぇ。住民票って、取るのに金かかるだろ。てかレンタルビデオ屋ごときが、なにほざいてやがる!俺が俺であることを証明しろだと?そのために紙切れを取ってこいだと?ふざけやがって!」
彼は憤慨しながら床に落としたハガキを踏み付けた。

少女は再び身を屈め、それを拾いあげる。
「ああ、それで師匠、証明がどうとか、おっしゃっていたんですね。」
彼女は何か珍しい物でも見るように、そのハガキをしげしげと眺めている。
「レンタルビデオ屋さんの、会員カードを更新したかったけど、身分証明がなくてできなかった、ってことですね。でも変な気分ですよね。自分であることが、証明できないなんて。自分が自分であることなんて当たり前のはずなのに。紙切れなんかなくたって、ザムザさんは、ザムザさんなのに。ですよねぇ?」

「…んだびょん」

男はぞんざいな様子で自らの髪を掻き交ぜた。

窓の外には爪で引っ掻いた跡ような、細い細い月があった。

***********************************
私は、頭上で発された妙に明るい声に、はっとして、その声の主を見上げた。
文枝も、私につられるように、声の主を見上げた。
緑を基調とした、エプロンっぽい形の制服を着ている。ここのファミレスの制服だ。
さっき発された言葉からも分かるように、彼女は店員だ。
彼女の腕で、しゃらしゃらと、華奢な金鎖のブレスレットが鳴った。
何故だかわからないが、その様子に、物凄く違和感を覚えた。
だが、実はもっとわかりやすく、おかしなことがあった。

あどけなさの残る面差しの少女は、ウェイトレスらしく、お盆を持っているが、
そのお盆の上には、小さな長方形の紙切れが、一枚だけ乗っかっていたのだ。
真っ黒な紙切れだ。真っ黒で、真ん中に何やら白い文字が書かれている。だが座っている私たちの目線よりも大分上にそのお盆があるので、文字を判別することはできない。
・・・「デザートをお持ちしました」って。
どこの世界に、こんな海苔みたいなデザートがあるだろうか?

少女は不自然なくらい完璧な笑顔を崩さず、その長方形のちいさな紙切れをつかんで、私たちの
テーブルの、ど真ん中に置いた。

それは名刺のようだった。「くぐつ師 ザムザ」と書かれている。
それよりもひとまわり小さな文字で、住所と、電話番号も書かれている。電話番号は携帯の番号のようだった。

そして店員は何の不自然さもなく、聞いてきた。
「ご注文のお品は、以上でお揃いですか?」

私は文枝と顔を見合わせた。
文枝が言う、「あの・・・、これ、頼んでないんですけど・・・」

店員は笑顔を解いて、人懐っこそうな、くりくりした大きな目を文枝に向けた。
それから、名刺に人差し指をあてて、つい、と文枝の方に滑らせた。
「言葉に出してないってだけですよね。でも、これは確かに、貴女が頼んだものなんですよ」
文枝は困惑して「・・・え!?、それって、どういう・・・」
と、その少女を問いただそうとしたが、いつのまにか彼女はさっきの完璧な笑顔に戻っていた。
(そのときの文枝は、今日会ってから今までで、いちばん、感情が動いているように見えた。)
「空いているお皿の方、お下げいたしますね~」
店員は素晴らしい速さで、テーブルの上を片付け、「ごゆっくりどうぞー」と言って、さっさと去っていった。

あとには、名刺だけが残った。
文枝と私は、再び顔を見合わせた。

つづきはこっち★↓
ザムザ 言葉の王国 第3話
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by sora10305 | 2009-07-09 21:17 | 小説『ザムザ 言葉の王国』