かなでと申します。松山ケンイチとオリジナル小説のブログです。要するに日々の萌えについて綴ってます。メールはkenkenken10305あっとまーくyahoo.co.jpまでお気軽にどーぞ☆


by sora10305
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かなでの妄想小説『ザムザ 言葉の王国』始動!&第1話

a0131401_21572951.jpg←すべてのはじまりはこのひとでした。
・・・そう、角川文庫さんの限定ブックカバーです。鬼才カフカの名作、『変身』の表紙のひとです。
このひとが、私の頭の中で勝手に動き出しました。

名はザムザ。職業は「くぐつ師」。好きな食べ物はモツなどの内臓系。
口癖は「んだびょん」(そうだろうよ)と「わいは!」(え!?)と「だけんど」。
方言混ざってるよ笑
・・・というわけで、はじまります。小説『ザムザ 言葉の王国』。もし興味があれば読んでやってください。
感想&批判は随時受付中です♪
ザムザさんを松山さんが演じたら・・・と、妄想しながら読んでいただければと。
あ、残念ながら、1話にはまだザムザさん出てきません。というか話にもでてきません。
そこまでたどり着かなかったんです(泣)
1話はプロローグ的な位置づけと思ってください。
数日後に2話アップします。そこにはザムザ多分出てくるんで、ぜひよろしくお願いします。

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ザムザ 言葉の王国

第1話

 駅前の、踏み切りを越えた向こう側に、自転車を置いている。平日も、休日も。
家からの道に繋がるのが駅の「こちら側」なのだけど、「こちら側」に自転車を置くと、すぐに撤去されてしまうからだ。
 
 自転車を撤去する、シルバー人材センターから派遣されてきたおじいさんたちは、やたらと勤勉だ。早朝からの勤務を1日だって怠らない。おかげで、私の自転車はもう3台、「あちら側」(市の施設)に行ってしまった(引き取りにいったことはない)。なので、踏み切りのこちら側にはもう、自転車を止めないことにした。
むしろ勤勉であるべき人たちに、その熱意を分け与えてほしいものだ。政治家とか、警察とか、教師とか。

 踏み切りの向こう側の、いつもの場所に自転車を留め、踏み切りの脇を通り過ぎようとしたとき、ふと、昨日まではなかったはずの看板を見つけた。
くたびれた感じの踏み切りの片隅に立て掛けられた、真新しくてちっとも擦り減ってない、白い看板は、異質だった。

 私は看板の赤い文字に目を凝らす。

『最近、踏み切り周辺におきまして、電車の運行を妨げる行為が多発しております。このような行為は、お止め下さいますよう、お願い申し上げます。なお、そのような行為を見掛けられましたお客様におかれましては、駅係員まで、速やかにご連絡下さいますよう、お願い申し上げます。皆様のご理解ご協力を、何とぞよろしくお願い申し上げます。』

 …何なんだろう?この異常なへりくだり方は。それに電車の運行を妨げる行為って。そこがいちばん気になるのに、具体的な事例については何も書かれていない。

 …線路に石を置いたりすることだろうか。

 昔そんな話を聞いたことがある。でもあれは犯人はカラスだった。
通い慣れた踏み切りに、石をくわえたカラスたちが入ってきて、次次に石を投げ込むさまを想像してみた。

 ばさばさと、黒い羽根を散らしながら、石をくわえたカラスたちが飛来し、石の雨を降らせる。あちこちで、耳障りな音をたてて線路に当たった石が砕け、破片が散る。
迫り来る電車が轟音を立てて停止しようとする、地響きが起き、あたりは人々の悲鳴で包まれる。

 なかなかにドラマティックな光景だな、と、そこまで想像して、思った。電車は止まるし、怪我人も出るかもしれないし、大騒ぎになるし、たくさんの人に迷惑はかかるだろうけど、絵的には悪くない。
さっきの看板が言う「電車の運行を妨げる行為」とやらが、本来意味するであろうことよりも、その方がよっぽど身近なことのように思える。

 そんなことを考えながら、電車に乗った。4ヶ月ぶりに、大学時代の友人、文枝に会いに行く。文枝はどこか、様子がおかしかった。といってもメールのやりとりでなんとなくそう思っただけだが。文枝は、いつもはよくわからない顔文字とか絵文字を多用した長文メールを送ってくるのに、数日前にやりとりしたメールはどれも短くて事務的だったし、顔文字も絵文字も使っていなかった。何かあったんだろうか?

 日曜日の10時台の電車には、意外と人が乗っていて、座ることができないくらいだった。
電車の中で、新聞に、こんな宣伝文句があるのを見た。

ネット炎上、投稿、内部告発
『見えない相手と戦う方法』

…目に見えない相手と戦う時代なのか、今は。

 自転車を撤去するおじいさんも、カラスも、目に見えるから、まだ対処法を講じやすいけれど、目に見えない相手と戦うなんて、それはやりづらいだろうな…
それにしても、何が現実で、何が現実でないのか、だんだん、わからなくなってきている。
漠然とそう思った。

*************************
「ねえ、ゆきちゃん、聞いて」
文枝は、いつになく真剣な顔を私に向けてきた。

4ヶ月ぶりに、文枝と会い、食事と近況報告等を終え、やっと本題に入るところだ。

 食事中、彼女はほとんど口をきかなかった。ここにいながら、ここにはいないようだった。話しかけても聞こえないんじゃないか、という気がして、なんとなく、声を投げかけることができなかった。
 
 私は、彼女を常に気にかけながらも、食事で忙しくて、それで満ち足りているかのように振る舞っていた。とくに食事のペースには細心の注意を払った。文枝の食事ペースはいつになくゆったりだった。私が先に終わってしまったら、携帯でも取り出してその場を取り繕うか、もしくは何か糸口を見つけて話し掛けなければならない。ひとは、人前で、何もせずにいることが苦手な生き物だ。特定の相手が目の前いる場面では尚更。

 文枝に合わせてのろのろと食事していたら、だんだん、タラコスパゲティーが冷めて干からびてきた。熱々のハンバーグとスパゲティーで食べるペースを揃えようとするのに無理がある上に、文枝はハンバーグにナイフを入れ、考えこむように動きを止め、思い出したようにまた切りはじめ…といった調子で、かなり食事に時間をかけていた。だからスパゲティーがそうなるのも仕方ない。

 日曜の昼、新宿の雑踏の一角にあるファミレスは、それなりに混んでいて、騒がしくて、慌ただしかった。人のざわめきと食器が当たる音と、なにかの電子音が飛び交っていた。それらの音が、引き延ばした食事という行為の外周を、けだるく取り囲んでいた。

 そんな食事も終わってしまって、さあどうしよう、と思いつつ、紙ナプキンで口を拭いていると。

「ねえ、ゆきちゃん、聞いて」

 文枝は突然沈黙を破った。切実な眼差しをこちらに向けている。

 私は目を逸らしたかった。でもできなかった。
そうするにはあまりにも間合いが近すぎたし、彼女の瞳はあまりにも悲痛で、虚ろだった。

 テーブルの上には、すっかり平らげたタラコスパゲティーの、タラコの粒がへばりついた空皿、ハンバーグのソースがたまって、残されたにんじんグラッセと芋のチーズがけを浸している鉄板、文枝のメロンソーダが半分くらい入ったグラス、「メロンフェア」「いますぐ簡単登録でドリンクバー無料券がもらえる!」というような広告の類、フォークやスプーンの入れ物、店員を呼ぶボタンと、それにくっついている紙ナプキン立て、紙ナプキンと楊枝。塩と無添加醤油、タバスコ。

 そんなものが並んでる。文枝の真剣さよりも、テーブルの上にある、そういうもののほうが、よっぽど現実的だった。

 からん、と私の目の前で、空のグラスの中の氷が鳴った。
私はストローで氷を掻きまぜながら精一杯心配そうな顔を作って言った、

「文枝ちゃん、どうしたの?深刻そうな顔して。」それから表情を緩ませ。
「私でよければ、何でも言って?」
文枝は、吐息で霞んだ、魂が抜けそうな声で言った。
「セカイが、失われたの」
「はぁ?」
ついつい、素っ頓狂な声を出してしまった。

それから、しばし、噛み合わない、不毛なやりとりを、私たちは続けることになる。

しばらくして・・・
「お待たせいたしました、デザートの方お持ち致しました☆」
妙に明るい声が頭の上から降ってきた。

次の話は・・・↓
ザムザ 言葉の王国 第2話
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by sora10305 | 2009-07-03 22:21 | 小説『ザムザ 言葉の王国』